令和6年 群馬憲法フォーラム

今国会で憲法改正の発議を!

令和6年5月2日(木)午後3時~5時、前橋商工会議所会館リリーの間で「美しい日本の憲法をつくる群馬県民の会」主催で群馬憲法フォーラムが開催された。

美しい日本の憲法をつくる群馬県民の会代表中曾根弘文参議院議員挨拶に引き続き、日本政策研究センター研究部長小板実先生による「憲法改正の論点―緊急事態条項と自衛遺体明記―」との演題で約1時間にわたる公演が行われた。

講演に先立ち前置きされた力強いお話が印象的であった。

「自民党の党是は憲法改正、岸田総理は私の在任中憲法改正を成し遂げると言い続けてきた。武士に二言はない。今国会で憲法改正の発議を!」

「共産党は元より憲法改正には反対、立件民主党も屁理屈・難癖をつけて実のところ憲法改正の意思は全く見られない。この2党を無視し改憲案を作成し具体的な憲法改正論議を進めるべきである。」

その後レジメに従い講演を進められた。

参加者は副代表の狩野、井田県議松本県議、群馬県選出の国会議員代理の秘書その他憲法改正を切望する60名余が参加した。

憲法改正の論点――緊急事態条項と自衛隊明記

1、憲法改正をめぐる現状――見えてきた条文案作成への展望

・国会発議要件……衆参両院で「改憲勢力」が3分の2確保

・国民世論……緊急事態条項、自衛隊明記について賛成が過半数

※朝日(昨年5/3) 緊急事態条項  賛成54%、反対37%

※毎日(昨年5/3)  自衛隊明記 賛成55%、反対31%

※朝日(一昨年5/3)自衛隊明記 賛成55%、反対34%

・憲法審査会の現状……条文案作成に向けた「攻防」

2、緊急事態条項の創設について

①求められる理由と背景

◇今、起きるかもしれない「緊急事態」

首都直下型地震~経済被害95兆円、避難者720万、首都機能や政府機能の麻痺南海トラフ地震~経済被害220兆円、死者32万人、被災者700万~1千万人

※東日本大震災の数倍~20倍の甚大な被害=「国家崩壊の危機」

※その他、パンデミック、外国の武力攻撃やミサイル発射、無差別テロなど

◇なぜ、憲法が問題となるのか

・そもそも「緊急事態」とは何か

膨大な人命の損傷、日常性の崩壊、パニックや社会秩序の混乱、暴動も迫られる迅速な人命救助、人心安定と秩序回復 → 国の迅速な対応が必要

※初動(十時間)に失敗すれば「国家の存立に関わる」(中央防災会議)

・そのためには「平常時のルール」から「非常時のルール」への切り替えが不可欠民主主義国家の統治制度は平常時が前提(三権分立や人権保障など)緊急事態には政府への権限集中、私権制限、国民に一定の義務を課す必要も

※敷地への無断侵入、壊れた家屋や車の除去、ガソリンや食料の物資統制

※東日本大震災の教訓 → 防災教育や法整備などソフト面の対策の重要性

②盛り込むべき原則

【緊急事態宣言】

・内閣は我が国に対する武力攻撃、内乱・テロ、大規模自然災害、感染症の大規模な蔓延等において国民の生命・財産を守るため緊急事態宣言を発することができる

・緊急事態宣言は、事前又は事後に国会の承認を得なければならない

【議員任期の特例】

緊急事態宣言が発せられた際、衆議院議員の総選挙及び参議院の通常選挙の実施が困難な場合、議員の任期の延長を定めることができる(立民、共産以外で意見集約)

【緊急政令及び緊急財政支出】

・緊急事態宣言が発せられ、国会が召集できない等の特別の事情がある場合、内閣は「緊急政令」を発し、又は「緊急財政支出」を行うことができる

・「緊急政令」は、イ)あらかじめ法律により委任されている場合、ロ)国民の生命、財産を守る場合に限ること

・「緊急政令」及び「緊急財政支出」は、国会の召集後速やかに承認を得ること

③若干の検討すべき問題

◇「立憲主義の破壊」「民主主義の基盤の喪失」といった批判

・だから「国会の関与」が不可欠 → 「内閣の濫用」に対する歯止めとなる

・むしろ緊急時の超法規的措置こそ憲法の空文化=立憲主義の破壊を招く

《憲法は、平常時においてだけでなく、非常事態および危機的状況においても真価を発揮すべきものである》(コンラート・ヘッセ)

※緊急事態条項がヒトラー独裁を招いた?

→ ワイマール憲法の緊急権条項は全く「似て非なるもの」

※参議院の緊急集会で対処可能?

→ 「緊急」の文字はあるが「平時の臨時措置」。真の緊急事態には対応不能

◇法律や運用で対処可能との意見 → 東日本大震災の教訓を想起すべき

・災対法105条「災害緊急事態の布告」→ 生活必需物資の統制と供給が可能に

・布告は出ず、ガソリン不足で緊急車輌や救急搬送等に支障 → 多くの震災関連死

・法律のみを根拠に国民の権利を制限した場合、違憲訴訟が起こる可能性

◇反対論の根底に横たわる「国家否定論」

「個人の人権を保障するためには究極的には国家の消滅も肯定される」(岩間昭道)

「緊急権を行使できないで国家が消滅することもありうる」(石村修)

◇緊急事態条項は「世界の常識」

・1990年代以降に出来た102の憲法すべてが緊急事態条項を持つ

・国連の人権規約も緊急事態における一時的な自由の制約を容認

3、自衛隊明記・国防条項の創設――求められる理由・背景とその意義

①求められる理由と背景

◇未だ流布される自衛隊違憲論とその弊害

・自衛隊への不当な対応や処遇……誹謗中傷、隊員差別、自衛隊忌避や嫌がらせ

・自衛隊員が置かれた「耐えがたい矛盾」(岩田清文元陸幕長)

「事に臨んでは危険を顧みず、身をもって責務の完遂に務め、もつて国民の負託にこたえることを誓います」「日本国憲法及び法令を遵守し」(服務の宣誓)

※自らの立場が曖昧な憲法を遵守しつつ、自己の命を賭けてでも国を守る……

・「軍事」を忌避する意識や風潮の浸透……その象徴が「日本学術会議」

◇強まる中国の軍事的脅威と新「安保3文書」による自衛隊の任務と責任の拡大

・例えば「反撃能力」や「領域横断作戦能力」(宇宙、サイバー、電磁波)など

・任務遂行上も法的位置付の明確化が必要

※正統性に弱点があれば、与えられた権限を行使するのは困難(石川健治)

※過酷な訓練、増える殉職(2千名余)

◇「米国の後退、中ロの台頭」の中で……米国を頼る日本から、米国に頼られる日本へ

②盛り込むべき原則

・我が国の平和と独立、国及び国民の安全を保つため、自衛隊を保持する

・内閣総理大臣による自衛隊の指揮統制

③自衛隊明記及び国防条項創設の意義

・自衛隊違憲論の解消 → 処遇改善、士気向上も

・単なる「平和条項」が「国防条項」に転換 → 「空想的平和主義」からの脱却も

※従来の自衛隊をめぐる「神学論争」を脱し、より現実的な防衛論議が可能に

・「国家の独立を守る」という国民の覚悟の宣言 → 中朝ロへの「心理的抑止力」

・「人権」「平和」に加え、「独立」「安全」が守るべき憲法上の価値に

※中国などの外資による土地購入など「静かなる侵略」への対策も可能に

◎さいごに……「わがこと」として拉致事件を考える

・横田早紀江さんの国民への訴え……拉致事件を「わがこと」として考えて下さい

・水面下で動き出した「拉致だけに絞った」日朝交渉……西岡力氏

・昨秋のイスラエルとハマス間の人質解放の動きが示唆すること

※「相互主義」と「軍事的圧力」 → 「圧力」なき話し合いは無力

※駐日イスラエル大使……「『悲劇の日本人』はいつまで待たされるのか」

・全国民の悲願である「拉致問題解決」のためにも自衛隊明記が求められている!

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