提言・刊行
令和元年度政策提言書の防衛省への提出
隊友会は、「国民と自衛隊とのかけ橋」として、国民の防衛意識の高揚や国の防衛・防災施策等への協力に関する各種活動を実施しています。
これら活動の一環として防衛環境の改善・防衛基盤の育成発展に寄与する防衛諸政策のあり方などに関する「政策提言書」を毎年、防衛省に提出・報告するとともに国会議員や各界有識者などに送付しています。作成は、昨年に引き続き偕行社、水交会、つばさ会を合わせた4団体合同であり、より深く幅広い提言書となっています。
【山本防衛副大臣へ説明、提出】
隊友会の折木良一理事長、偕行社の奥村快也専務理事、水交会の赤星慶治理事長、つばさ会の若林秀男専務理事は11月29日、山本ともひろ防衛副大臣に対し、令和元年度政策提言書を報告した。折木理事長の挨拶後、増田隊友会常務理事が概要を説明し、説明を受けた山本副大臣からいくつかの質問があり、予定時間をはるかにオーバーして50分間にわたり忌憚のない意見交換が行われました。

山本副大臣は、1年かけて検討いただきありがたいとの感謝の言葉の後、最初に警戒監視について質問されました。これに対し、増田常務理事から現在は調査研究の枠組みで実施しているが、この場合、例えば質問権のような明確な権限がなく、実効性に問題がある。任務化することにより訓令を整備し、訓練を行うことができ、隊員の士気が向上すると説明しました。
次に副大臣は、提言で掲げている日米安保の改訂の趣旨について質問されました。これに対し、増田常務理事が「平和安全法制の議論で集団的な自衛権が一部認められたが、国会答弁では義務ではないと述べている。米側から要求された時に義務ではないので断ることができるのかという問題がある。この点を議論していただきたいという趣旨である」と答えました。
次に副大臣は、「処遇改善については努力している。自衛隊退職後の防衛省・自衛隊への貢献を叙勲へ反映するには提言を具体化していく必要がある」等と発言されました。
最後に、防衛大学校留学生の初めてのホームカミングデーに触れ、今年50名の留学生が参加したが、留学生のネットワークを活用することは国と国の信頼醸成の面からも重要であると結ばれました。
【髙橋事務次官・岡人事教育局長に対する説明】
防衛副大臣説明に先立ち、11月13日に髙橋事務次官、11月8日には岡人事教育局長に説明しました。
髙橋事務次官は「我々も提言頂いている防衛力の強化、人的基盤の強化などに関して同じような問題認識を持っている。できること、やるべきことからやっていきたい」と述べ、「現在中東への自衛隊の派遣も検討中であり、防衛産業との関係もしっかりやっていきたい。人的基盤の問題は大変厳しい状況であるが、少子化には何としても対応していかなければならない。宇宙・サイバー・電磁波の新領域についても予算を確保していく。また、豚コレラに関する災害派遣への現場隊員の悩みについては承知しており、メンタルケアも考えていく必要がある。」と述べ、最後に、「防衛省としてたくさんの課題があるが、なるべく早い結論を得るよう頑張っていきたい。」と述べました。


更に、「大綱では人事基盤についてかなり具体的に踏み込んだ。給与の改善については今国会に初任給の引き上げ等を提出している。一つひとつできることからやっていく。今回の災害派遣においても即応予備自衛官を派遣した。即応予備自衛官を災害派遣で運用することには慣れてきたが、訓練時間を増やし、平時から運用サイドとの調整を行うことが重要である。」と述べました。最後に、「人事基盤については進んでいない所もある。やれる所からやっていく。」と述べました。
折木隊友会理事長は最後に、「人事基盤の問題は防衛省だけの問題ではなく、他省庁とも絡むことから、我々の思いを関係省庁にも伝えてもらいたいと要望した。」と応じました。
【四幕僚長へ説明】
同じく11月27日、4団体の代表が、一堂に会した山崎幸二統合幕僚長、湯浅悟郎陸上幕僚長、山村浩海上幕僚長、丸茂吉成航空幕僚長を統幕第1会議室に訪問し、政策提言書を説明しました。

重岡隊友会常務執行役の説明後、折木隊友会理事長が「多岐にわたる分野において提言を行っており、参考にしていただきたい。」と要望すると、山崎統幕長は、「大所高所から多岐にわたる提言をいただきありがとうございます。国家としての視点、統合運用の視点、陸・海・空の基盤の視点、新たな領域についての視点等、多角的に見て進めていきたい。この提言を参考にさせていただき、より良い方向へ向かっていく。」と応じました。
なお、自民党及び公明党にも政策提言書を説明していますが、細部については隊友1月号に掲載します。


